「ついにダイソーからロボット掃除機が登場！」――。SNSを中心にそんな衝撃的なニュースが駆け巡ったのは記憶に新しい。日々の掃除の手間を劇的に軽減してくれるロボット掃除機は、今や多くの家庭で「欲しい家電」の上位にランクインする存在だ。しかし、その価格は数万円から十数万円と、決して気軽に購入できるものではなかった。そんな中、 550円（税込）という驚愕の価格で登場したダイソーの「ロボット掃除機」は、多くの人々の度肝を抜き、大きな注目を集めた。
しかし、同時に誰もが抱く疑問、それは「本当に使えるのか？」という点だろう。この記事では、プロのライターがダイソーのロボット掃除機（正しくは「自走式クリーナー」）の真相に迫る。その性能、メリット・デメリット、そしてどんな人におすすめできるのかを、ネット上の口コミや評判、さらには本格的なロボット掃除機との比較を交えながら、2000文字以上のボリュームで徹底的にレビューしていく。
目次
ダイソーでロボット掃除機は本当に買えるのか？噂の真相
まず結論から言うと、2025年現在、ダイソーの店舗で一般的にイメージされるような、ゴミを吸引するタイプの「ロボット掃除機」は販売されていない。SNSなどで話題となったのは、正確には「ロボット掃除機（電池タイプ）」または「自走式クリーナー」という名称の商品である。
価格は550円（税込）で、単三乾電池3本（別売り）で稼働する。ゴミを吸い込む機能はなく、本体の裏面に取り付けた専用のクリーンシートで床を拭き掃除するという仕組みだ。そのため、本格的な掃除性能を期待して購入すると、肩透かしを食らうことになるだろう。
しかし、「おもちゃのよう」と切り捨ててしまうのはまだ早い。この550円のガジェットには、価格以上の魅力と可能性が秘められているのだ。
【徹底レビュー】ダイソー「自走式クリーナー」の実力はいかに？
では、多くの人が気になるであろう、その実力を細かく見ていこう。
1. 外観と付属品
- デザインとサイズ: 直径約23cm、高さ約5cmと、一般的なロボット掃除機と比較して非常にコンパクトで軽量だ。この小ささが、狭い場所や家具の下にも入り込みやすいという利点につながる。デザインは白を基調としたシンプルなもので、どんな部屋にも馴染みやすいだろう。
- 付属品: 本体に加え、専用のクリーンシートが15枚、そしてシートを本体に固定するための面テープが16枚付属している。電池は別売りのため、購入後すぐに使いたい場合は忘れずに用意しよう。
2. 性能と機能
- 掃除方式: 前述の通り、吸引機能はない。底面に取り付けた不織布のシートが、走行しながら床のホコリや髪の毛、ペットの毛などを絡め取っていく「拭き掃除」がメインの機能となる。
- 走行性能: 高度なセンサーやマッピング機能は搭載されていない。基本的にはランダムに走行し、壁や家具などの障害物にぶつかると、物理的な衝撃を検知して方向転換するという非常にシンプルな仕組みだ。YouTuberのレビューでは、昔ながらの「机から落ちない玩具」のような仕掛けではないかと推測されている。
- 稼働時間: 使用する電池の種類にもよるが、アルカリ乾電池を使用した場合、比較的長い時間稼働するという声がある。ただし、自分で電源をオフにしない限り、電池が切れるまで動き続けるため、外出中の使用には向かない。
- 静音性: 動作音は「けっこう大きい」と感じる人が多いようだ。静かな環境での使用は気になるかもしれない。
3. 使い方とメンテナンス
使い方は至ってシンプルだ。
- 本体底面の電池カバーを開け、単三乾電池を3本セットする。
- 付属の面テープを本体裏の指定された位置に貼り付ける。
- クリーンシートを面テープの上に貼り付け、タイヤ部分の穴を合わせる。
- 本体上部のスイッチを押すと、掃除が開始される。
メンテナンスも簡単で、汚れたクリーンシートを剥がして新しいものに交換するだけだ。シートは24枚入り110円で別売りもされているため、ランニングコストも非常に低い。
メリットとデメリットから見る「買い」か「待ち」か
実際に使ってみた人々の声や製品仕様から、メリットとデメリットをまとめてみよう。
メリット
- 圧倒的な価格: なんといっても550円という価格は最大の魅力だ。本格的なロボット掃除機に手が出なかった人でも、気軽に試すことができる。
- ちょっとした掃除に: 吸引力はないものの、フローリングのホコリや髪の毛といった軽いゴミはしっかりとキャッチしてくれる。「ちょい掃除」用途としては十分な性能を持っているという評価が多い。
- 話のネタになる面白さ: 「ダイソーでロボット掃除機が売っていた」というだけで、友人や家族との会話のきっかけになるだろう。そのユニークな動きは、見ているだけでも楽しめる。
- 子供やペットのおもちゃとして: そのシンプルな動きは、子供の好奇心をくすぐったり、猫の遊び相手になったりするという意外な活用法も報告されている。
デメリット
- 吸引力がない: 最も大きなデメリットは、掃除機としての吸引機能がない点だ。大きなゴミや食べこぼしなどは掃除できない。
- 賢さはない: マッピング機能がないため、効率的な掃除は期待できない。同じ場所を何度も通ったり、全く掃除されないエリアが残ったりすることもある。
- 段差に弱い: わずかな段差やカーペット、ラグなどを乗り越えることはできない。フローリングなどの平坦な場所でしか使用できないと考えた方が良い。
- 本格的な掃除には不向き: あくまで簡易的な拭き掃除ロボットであり、メインの掃除機としての役割を担うことはできない。
ダイソー「自走式クリーナー」はどんな人におすすめ？
これらの特徴を踏まえると、ダイソーの自走式クリーナーは以下のような人におすすめできる。
- ロボット掃除機の雰囲気を味わってみたい人: 本格的な製品を買う前のお試しとして、ロボット掃除機のある生活がどんなものかを体験してみたい人には最適だ。
- ワンルームなど平坦で狭い部屋に住んでいる人: 家具が少なく、床に物をあまり置いていないシンプルな部屋であれば、ホコリ取りとして一定の効果が期待できる。
- ガジェット好き、DIY好きの人: 550円という安さから、分解したり改造したりするベースとしても面白い。SNS上では、市販のフローリングワイパーシートを取り付けて清掃能力を向上させるなどの工夫も見られる。
- 子供やペットがいる家庭: 安全性に配慮しつつ、おもちゃとして活用するのも一つの手だろう。
一方で、しっかりとした清掃能力や効率性を求める人、部屋に物が多い、または段差やカーペットがある家庭には、残念ながらおすすめできない。
本格的なロボット掃除機との決定的な違い
ダイソーの自走式クリーナーをきっかけに、「やはり本格的なロボット掃除機が欲しい」と感じる人もいるだろう。では、数万円以上するモデルとは具体的に何が違うのだろうか。
| 機能 | ダイソー 自走式クリーナー | 本格的なロボット掃除機（エントリーモデル以上） |
|---|---|---|
| 掃除方式 | 拭き掃除のみ | 吸引、水拭き、または両方 |
| 吸引力 | なし | 強力な吸引力でゴミを吸い込む |
| センサー | 物理的な衝突検知のみ | レーザー、カメラ等で部屋をマッピング、障害物を回避 |
| 走行性能 | ランダム走行 | 効率的なルートで隅々まで掃除 |
| 自動化機能 | なし（手動でON/OFF） | 自動充電、スケジュール設定、スマホアプリ連携 |
| 段差乗り越え | ほぼ不可 | 2cm程度の段差は乗り越え可能 |
| 価格 | 550円（税込） | 2万円～ |
本格的なロボット掃除機は、賢い頭脳（マッピング機能）とパワフルな清掃能力（吸引・水拭き）を備え、掃除という家事を「自動化」してくれる。一方、ダイソーの製品は、フローリングワイパーがけを「自動で動かしてくれる」ガジェットと捉えるのが正しい理解だろう。
安いロボット掃除機選びで失敗しないために
もしダイソー製品では物足りず、もう少し本格的なモデルを、と考えるなら、2万円以下の価格帯でも吸引式のロボット掃除機は存在する。選ぶ際には、以下のポイントをチェックすると失敗が少ないだろう。
- 吸引性能: 吸引口の広さやブラシの形状が重要。ペットの毛などが気になる場合は、毛が絡みにくいゴム製のブラシがおすすめだ。
- センサーの種類: 落下防止センサーは必須。部屋の間取りを学習するマッピング機能があれば、より効率的な掃除が可能になる。
- 本体サイズ: ソファやベッドの下を掃除してほしい場合は、高さを確認しよう。
- アプリ連携: スケジュール設定や遠隔操作ができると、利便性が格段に向上する。
まとめ：550円の夢と現実、そして未来へ
ダイソーの「ロボット掃除機（自走式クリーナー）」は、本格的な掃除性能を期待する製品ではない。しかし、550円という価格で「床拭きを自動化する」という体験を提供してくれる、非常にユニークで魅力的なガジェットであることは間違いない。
それは、日々のちょっとした手間を解消してくれる相棒であり、クスッと笑える愛嬌のあるペットのようでもあり、そして未来の便利な生活を垣間見せてくれる小さな夢のかけらでもある。
この記事を読んで、その「夢」を550円で体験してみるか、あるいはもう少し投資して本格的な「現実」の便利さを手に入れるか、あなたのライフスタイルに合った選択をする一助となれば幸いである。ダイソーが次にどんな驚きを私たちに提供してくれるのか、期待は膨らむばかりだ。